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6 little stories h o m e h e a r t s




ふしぎな 贈りもの

ゆびおりかぞえ まちかねたクリスマス
町はにぎわい 聖なる鐘の音 きこえるゆうべ
そのかぞくは けしてお金持ちではなかったけれど
こどもたちは すくすくと元気にそだち
おとなたちは つつましやかな笑顔わけあい
くらしておりました

その日の朝早く
こどもたちは誰よりさきに こっそり起きだし
ツリーのねもとにつまれた色とりどりの 贈りものの
まわりを しのび足で陽気におどります
まだほの暗い 窓の外には ちらりほらり
粉雪舞って こどもたちは口々にいいました

ねえ なにか今年の 聖なる日には
ふしぎなことが 起きそうな
わくわくすること くれそうな
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高価なものは なにひとつないけれど
でてくる でてくる
心のこもった 贈りもの

おばあさまのお古の うつくしいドレス
おおきなお子から ちいさなお子へ
たいせつにしていた テディベア
虹いろのマフラーとてぶくろは
毎日 けんめいにはたらく おとうさんに
ふちのかけた お皿とカップは
あたたかな料理をつくってくれる おかあさんに

おや 食べかけのクッキー
いれたのは だあれ
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だれもがよろこびをわかちあっていたそのあとです
みなが 首をかしげました
おや これは誰への プレゼントかな
贈りぬしも もらいぬしも
みつからぬ箱が ひとつ とりのこされてるよ
そして箱の中からは たくさんの卵たちが
あらわれました
こどもたちはその卵を
あかりの下であたため
たいせつに育てることにいたしました

何の卵か しらないけれど
げんきにかえってくれますようにと
毎日 毎晩 しんぱいそうに箱の中を
かわるがわるにのぞいては 世話をやいたのです
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すこしの日々が過ぎ  新しい年がうまれるその瞬間です
卵がつぎつぎにかえり 幸せ色した鳥たちが
はばたいていきました
こどもたちもおとなたちも目をみはり
その様子をみまもっておりました
鳥たちは 感謝のきもちをあらわすように
部屋の中で きらきらはばたき
彼らのまわりをぐるぐるりとまわると
窓からとびさって いってしまいました

そしてそのあとに残されたのは
新しい年を平和にむかえられた かぞくたちのよろこび
そして新しい卵のはいった贈りもの

さあ この幸せな贈りもの つぎはだれにあげようかな
こどもたちは目をきらきらとかがやかせ
あらたなそうだんをはじめました
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