| ● | ● | ● | Invitation to Autumn Colors | ● | ● | ● |
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| 秋色の 招待状 | |||
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ある日 町はずれの郵便受けにとどいたのは 木の葉にかかれた 招待状 鼻をくすぐる 枯葉のにおい かさかさ 耳もとで鳴るのは 秋の音 なんだか とってもなつかしい この音 このにおい この声は ちいさなころに 知ってたような ちいさなころに 仲良しだった そのとたん 招待状は くるりとひるがえり 「秋色の 旅へ ようこそ」 「まって まってよ どこへ行くのさ」 あわてて 追いかける 一本道 |
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すこしつめたい風にふかれて くるり くるりと ターンする ふしぎな道先案内人 「早く 早く こちらさ こちら」 息をきらして ついていけば あれよ あれよと かわっていくよ すずかけの木 栗の木 いちょうの木 つらなる木々の色 谷あいの林の色 夏から秋へ 緑から赤へ 色と色との七変化 そしていつしか忘れていたこと 思い出す じょうずな どんぐりの見つけ方 ただしい栗のいがいがの 拾いかた |
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かくれんぼうのように まだまだ 逃げては追いかける 「もう いいかい」 「まだまださ」 「もう いいかい」 「もうすぐさ」 するとまた かわっていくよ 段々になった にぎやかな畑の色 野原にしげる おしゃべりな草の色 そして またもや 思い出す 草穂で鳴らす ハーモニカ 山ぶどうでたてる 鈴の音 楽器なんて必要なかった あのころのこと |
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もう疲れたよと 息をつき たどりついたその場所でまっていたのは 落ち葉にかざられた 秋のごちそう 「さあ いただきましょう」 土の上で 遊ぶ 枯れ葉たちの 合唱 そこに まじるのは 毎日わらってばかりだった ちいさかった ぼくの声 そっとしゃべりかけてみる 「やあ なつかしいな」 「ああ ただいま」 「よう 元気だったかい」 そしてきづくと ひとり 静かな明るい森の中 それにしても案内人は いったいどこに消えたのかな |
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