Friends of the Star
 
6 little stories h o m e h e a r t s





星こぞうの ともだち
つまらないことで 星こぞうは なかまたちと けんかをしました。
けれど ともだちの 一等星くんも 二等星ちゃんも 
ぷいと くもり夜空に すがたを けしてしまったところを みると
もしかして つまらないことじゃあ なかったかもしれません。

「でも 自分からは あやまりになんか いくもんか」
人いちばい さみしがりやの 星こぞうが
だれにともなく そう つぶやきますと
ぼやけた月あかりの うしろから
同じような せりふが
きこえてくるような 気がいたしました。

「ああ たいくつだな。だれか あそんでくれないかしら」
けれど 明星もみえない あけがた近い 空です。
このままでは ますます なかまの すがたも
さがせなくなると思うと
星こぞうは ふあんに なってまいりました。
1
そんなときです。星こぞうのはるか 下のほうにみえる 海。
その 波間で とびうおの つばさが 光るのが 見えます。

「おおい そこのきみ。ぼくと あそんで くれないかしら」
星こぞうの よびかけに 
とびうおは 波の上を ひゅいんひゅいんと いきかいながら
せわしなく いいました。
「うーん。きみ、なんだか のんびり していそうだなあ。
ぼくとは ペースが あわないと おもうよ」
そういえば びゅんびゅん はねる そのすがたは
流れ星たちよりも ずいぶんと忙しそうです。これは むりかもな。
星こぞうは だまりこんでしまいました。
しょんぼりした 星こぞうを かわいそうと 思ったのか
とびうおは たからかな ジャンプを しながら やってきます。
「でも きみと 気のあいそうな ともだちなら 知ってるよ。
のりなよ。つれてって あげるからさ」
星こぞうは よろこびいさんで 
つるりんとした とびうおの 背中に とびのりました。  
2 
とびうおが つれていってくれたのは
みしらぬ島の よせては かえす波うちぎわ。
砂の上には のんびりした ようすの 
たくさんの ひとでたちが あそんでおりました。

しんせつに むかえてくれた ひとでたちに
星こぞうは うれしくなって いいました。
「わあ、きみたち ぼくと そっくりだね。うれしいや」
けれど ひとでたちは 口々に いいます。
「ちがうよ。ぼくたちは ちいさな もようがあるけれど きみはない」
「それに ぼくたち じみな色 だけど
きみは なんだか おちつきなく 光ってるしさ」
「それに だいいち きみ およげるの?」

星こぞうは かんがえこんでしまいました。
なにしろ じぶんが およげるか なんて
今まで かんがえたこと ないのですから。
星こぞうのなかで ともだちとは 似たものどうしの ことでした。
3 

こまりはてた 星こぞうを ひとでたちは なぐさめてくれました。
「がっくり しちゃった? ぼくたちと きみが 似てないってことで」
その声が やさしかったので 星こぞうは くびを ふりました。
「ううん。きみたちも 僕のこと 似ていなくても きらわない?」
「もちろんさ。もっと しりたいよ 星くんのこと。
その ぴかぴか 光る しくみのことだって なんだって」

そこで 星こぞうは 空から なかまたちも よぶことにしました。
星こぞうが 声をかけると なかまたちは
けんかしたことなど わすれたように 
つぎつぎと 見知らぬ島の はまべへと おりてまいりした。

その様子をみて 星こぞうは はじめてきづきました。
「なんだ。あいつらも みんな ちがう 色とかたちを してるんだ」
オレンジの 光に レモン色の 光。
丸星に きらら星 五角形 六角形。
星こぞうは すこし ほこらしいきもちにも なって
かれらに 海のともだちを しょうかいしました。
4


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