| ● | ● | ● | Adventure of Waterdrops | ● | ● | ● |
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| 水滴の 冒険 | |||
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ぼくは 雲から うまれた 水滴 水を ふくみ やわらかな 若葉の うえ つるり すべる いのちが くるんと すきとおった からだに やどる もう はねたくて おどりたくて うたいたくて たまらなくなる 「ああ もういっちゃうの すてきな 水滴くん たら」 「ごめん じっとしては いられないのさ」 「まあ つれないお方」と やわらか若葉 ふるんと ゆれた |
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ぼくは 雨から うまれた 水滴 通勤の ひとたちで ぎゅうぎゅうづめの まちかど 傘から 傘へと ひょい ひょい ひょい まっくろな ジャンプ傘 ふるぼけた おりたたみ傘 みんな パラソルの 花園に はやがわり サラリーマンが おとなりのサラリーマンに はなしかけては 「おや きょうはまた にぎやかな色の 傘ですな」 「いやはや おたくこそ 水玉とは また 粋な」 |
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ぼくは よつゆから うまれた水滴 あめあがりの 原っぱ するすると 光る 草穂の すべりだい ばったが 「あぶないぜ」と とびのき とんぼが 「おちつけよ」と 目をまわし こおろぎが 「おれだって」と 羽こする けっきょく みんな なかまに いれてよと 草の ゆうえんちに たのしげに れつをなす |
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ぼくは 空から うまれた 水滴 虹のでた 午後 さあ ぼうけんは おしまい 水たまりを すいすいすい と およいだあとは もういちど うまれるために たかい たかい 雲の中へと かえるんだ いのちが 光に とけていく そのしゅんかん はしゃぎすぎた まんまるな こころが きゅんと ちいさく いたんだ |
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