お ひ る ね 日 記
May 2008 (2) 

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2008.5.15 (Thu) in Japan    ★★★

にいもとさんが講義をされている京都造形芸術大学の「クリエイティブ・ライティング」の授業に招かれ、きかれるままにつらつらうだうだと話す。 にいもとさんのなめらかな誘導尋問に導かれ、「しかしまあ、ものを書いて生きながらえていくのは大変でありまして…」などとうっかり弱音が口をついてしまう。 未来の作家を意気揚々とめざす生徒さんたちの前で。誠に申し訳ないことです。私の場合ということで。ともあれ観光客魂を発揮し、授業の前には百万遍さんの月に一度のてづくり市へ。 講義後、会議に出席するにいもとさんを待つ間には、ひとっぱしりご近所の詩仙堂へ。なんとも穏やかな庭、静寂の夕方。晩ご飯はにいもとさん、大学の竹内さんと、京の路地裏で世界をまたにかけた家庭料理を食べられる店へ@吉田屋料理店。 イベリア豚のチョリソ、白アスパラガスのソテー、鴨と水菜サラダ、いか墨パドタイ、たこカルパッチョ、ブルーチーズトースト、忘れちゃいけねえ、すくい湯葉など食べつつ、 京の路地裏で世界をまたにかけた未来の楽しい話に夢馳せる。
 
近所に住んでいたら、カレンダーに○をつけ、なにをおいても通うであろう知恩寺の手づくり市。漬物から和装品、パンからガラス細工までひとの手がうみだしたものばかり。 拝観受付時間が終わり間近なのにどうにか入れてもらえた詩仙堂。このあと八大寺に寄って武蔵の決闘時の像も観。大学から歩ける距離なのに、「それどこ!?」とにいもとさん。
 
2008.5.16 (Fri) in Japan    ★★★

金閣寺に行ったのなら銀閣寺も見なくては。しかしお堂は全面改修中で、お寺のまわりをぐるぐると「なにが銀?どこが銀?」と言いつつ、まわっただけであった。 哲学の道を散策し、ねずみの寺見て、「銀閣寺つぼみ」さんで心ひかれる半帯を買いて、晩ご飯は「おめん」へ。この美味しいうどんのお店は、銀閣寺とNYソーホーにしかない。 「ソーホー店から歩いて10秒のところに住んでいたんですよ」と心で言う練習をするも、むろん言えずじまい。
 
銀閣寺は銀沙灘の庭も風雅だったが、寺を取り巻く散歩道がよかった。さまざまな苔におおわれた山肌のみどり。「悪い(気に食わない)苔」「いい苔」の見本にうけた…。 哲学の道からちょいと入ったところにある大豊神社の狛ねずみ。なんだかこにくらしい!のは、前のアパートでさんざんねずみに悩まされたトラウマか。
おめんのうどんは、季節の野菜をつゆに一緒に入れて食べるのだが、これはしっかり真似させていただいている。京野菜や茗荷、大根やきんぴら、針生姜に紫蘇でつるつると。 鶏の山椒焼き。ことごとく美味しい京都の鶏。べつに、「地鶏」などと自慢げに書いていなくても、味がしまってやわらかい。
湯葉のおつくりは、赤紫蘇の芽とともに。湯葉をNYでも食べるために、真剣に豆腐づくりを考案中。理科の実験でつくったお豆腐、まずかったっけ…。 まるまるな茄子の田楽。このほかに、アスパラガスと帆立のにんにく醤油。
 
2008.5.17 (Sat) in Japan    ★★★

京都最終日。お寺はさすがに満腹状態になったゆえ、本日は城へ(あまり変わりない気も)。うぐいす張りの廊下をきゅっきゅと鳴らしつつ、二条城。狩野探幽のふすま画に目を見張る。 二十歳そこそこで素晴らしい作品をたくさん描いた天才絵師。虎のふすま画の横にある説明文には「虎はそのころまだ日本にいなかったので、剥製を見本に想像で描いた」とある。 そういえば、すがたが微妙に…。駅デパートで、川島織物、龍村のかばんによだれをたらすも身のほど(と財布の中身)をわきまえ、泣く泣く漬物だけ買う。
 
二条城の大手門や欄間の見事な彫り物を、口あけてみあげる。 晩ご飯は蔵を改造したというその名も「蔵倉」へ。生麩ともこれでおわかれかと思うと、さみしさがこみあげることよ。揚げだし、田楽、どれも美味しかったのう。
名物の巨大ばくだんおにぎり。赤ちゃんの頭ほどはあるかと。ほかに相変わらずジューシーな鶏もも焼き、ころころな里芋天ぷら、そら豆、うにとなすびのとろろかけ、帆立バター。 なつかしの鯨ペーコンは厚切りを辛子で。でもこの脂っぽい(というか脂そのもの?)食感は、昔みたいにぺらぺらのほうが美味しい気も。できれば縁は食紅つきで!
 
2008.5.18 (Sun) in Japan    ★★

ウィークリーマンションをチェックアウト。急いでいるのに、アパートの廊下で労働者風のおっちゃんにつかまり、次々と手品を公開される。わかる、わかるよ…手品覚えたてのときって、だれかれかまわず披露したくなるんだよね。 でも私たちは「ぷらっとこだま」の割引新幹線チケットゆえ、遅れることができないんざます。というようなことを目で訴えるも、おっちゃん構わず。 ざっと6,7技を披露され、さようならあと住み慣れた宿をあとにする。昼ごはんに柿の葉寿司を買い込み新幹線。高円寺着。いつもはここでもウィークリーマンションなのだが、布団のかび臭さが気になってホテルへ。 靴修理のお店を訊ねると、さっと調べてくれ、地図をプリントアウトしてくれる親切さ。短期の高円寺はここにしようかな、と思う。 晩ご飯は旬の魚と炙り焼の店で、ひらす刺、馬刺ユッケ、手作りさつま揚げ、うに炒飯、甘海老コロッケ、太刀魚の木の葉味噌焼き@月○海。
 
2008.5.19 (Mon) in Japan    ★★★

じっくりと東急ハンズを流したあと、久々のイギリス紳士と一年ぶりの再会。日本で会うみなさんは、ことごとく一年ぶりなので、ひとによっては大きく環境がかわっているのが興味深し。 紳士も角度にして七十五度ぐらい変わっておられた。はじめは、お好み焼きの店に行こうと計画していたが、普段めったに異をとなえぬ紳士が「う、それはちょっとご勘弁」と元気よくあとずさった。 きけば、お好み焼きやもんじゃ焼きで知られる地域に住んでおられるそう。かわりに新宿ベトナム飯で乾杯@サイゴン。 グリーンパパイヤ・サラダ、鳥手羽ニョクマム焼き、生春巻き、豚と海老入りベトナム風クレープなど。
 
2008.5.20 (Tue) in Japan    ★★★

井の頭公園の動物園へ。去年還暦を迎えた象の花子をながめながら、売店にてそばめしとおにぎり。花子は歯が悪いので食べ物はすべてジュースにしてあげなければならないらしい。 1日にバケツ何杯分のジュースを飲むのだろうか、花子は。ヤマアラシなどに挨拶し、オニオオハシのスタンプを手帖に押して、動物園をあとに。お次はおむかいの水生生物園へ。 武蔵野の森の強欲な蚊に、今年初の洗礼をうける。八箇所ほどかまれ悔し泣き。晩ご飯は焼き肉@二楽亭。煙のせいか、不調な左目ますますかすみ気味。
 
2008.5.21 (Wed) in Japan    ★★★

昼ごはんは、肉好きな両親と新宿でおちあい、とんかつ@とん匠。のち、新宿にいるなら流さにゃならぬ電気街と東急ハンズ(一昨日見たりなかったのだ)@新宿西口&南口。 晩ご飯はかおるちゃんと再会@龍家。いつも美味しい熱々ワンタン、豚のシャシュリーク、かつおにしめ鯖、柚子胡椒豚焼きそば、鯛のかまと筍煮。 龍家の方々に「明日もまたきます〜」と挨拶、「まいどー」と送りだされ。年に一度の帰国でもこれだけ濃厚に通いつづけりゃ、顔なじみになるってものさねえ。
 
2008.5.22 (Thu) in Japan    ★★★

合羽橋を散策。胡椒挽き、顔のついたスプーン、唐辛子入れ何個も、餃子のキーホルダーなど買い。4合瓶の酒用に瓶のフタを買った店のおばさんがとても親切だった。 「サイズ合うかなあ」と迷っていると、「それなら、今度、瓶をもって出直してくればいいわ」とほがらかにおっしゃる。電車賃と瓶を運ぶ重さを考えたら、とりあえず今日、5個ほど買っておこうと思います…(1個50円だし)。 晩ご飯は本日も予告どおりに龍家に参上。ごんちゃん、サリーと懐かしの雄たけび。ワンタン、シュシュリークまでは昨日と一緒だが、雪とら、大根醤油、そら豆、海ぶどうにアスパラガスとつづく。 まだまだ食べたいメニューはあるので、毎日でも通えるぞ、と鼻息あらく。
 
井の頭公園の花子は、ポーズをつけるのがおじょうず。館員のおじさんが、鼻をたたきながらやさしく声をかけていた。 ニイミ洋食器店のこのおじさんと、祭りのはりぼてに、そこはかとない威圧感と恐ろしさをかんじるのは私だけか。
 
2008.5.23 (Fri) in Japan    ★★★

さよなら高円寺、また来て海老名。晩ご飯は鰤刺身(自分でスーパーに寄って買ってきた)、ふのりと水菜、胡瓜サラダ、舞茸とピーマン炒め。 両親は多分「また青魚攻めの日々がつづくのか」と思っているにちがいなし。
 
2008.5.23 (Sat) in Japan    ★★

高円寺から宅急便で送っておいた荷物とどく。高円寺や京都の日々のなごりが、レスポのバッグのなかでいっしょくたに混ざっておる。はんなりな中央線、という感じか。 佃煮をあけて、早速食べる。大切な大切な青山椒の実は、ひと足お先にNYに飛んでった。晩ご飯は焼き秋刀魚、焼き豚と生ひじき、茗荷とレタスのサラダ、昆布と山椒、おかかの佃煮とエシャロットあえ。
 
2008.5.25 (Sun) in Japan    ★★

雨。昨晩の夢。母とアパートの部屋で鯖を焼いていたら、警官はくるわ、外で暴動は起こるわの大騒ぎが勃発。「我々はこれ以上、日本人の巻き起こす臭い煙に耐えられん!」とさけぶ民衆を、あわあわとながめる母娘…。 もしや、自分で思うより、アメリカで気軽に青魚が食べられないストレスが体に蓄積されているんじゃあ…。不安らなるも、なかなかに面白い夢じゃった。 晩ご飯は焼き鯖(正夢とはすこしちがう)、サラダほうれん草と生湯葉と玉ねぎサラダ、数の子と昆布佃煮あえ、さつまいも煮。
 
2008.5.26 (Mon) in Japan    ★★★

編集者S谷さんと久々の再会。エンダイブとからすみ、たこの辛ソース、ペペロンチーノとアンチョビパスタ、いかのグリル。なにを食べてもいける!と膝を打ちたくなる味で幸せな心地になりつつ、なごやかな会話@花の碗。 なごやかなS谷さんが、お子さんをシッターさんに頼んでいらしたときき(恩着せがましい言い方でなく、なにかのついでに判明したのだ)、あっ、と思い、ありがたく、かつ申し訳なくなり。 思えば、子どものいるひとと夜に会うということは、どこかで誰かになんらかの負担をかけている、ということなんじゃなあ。と、お気楽暮らしの私は今さらながら気づくのだった。 背筋ただして、イカタコかみしめる。
 
2008.5.27 (Tue) in Japan    ★★

来週の友達との飲み会用の店を物色。居酒屋メニューはながめているだけでも楽しく、気づけば「ぐるなびレシピ」をとっくりと。店選びじゃないじゃん。 十数年ぶりに再会する大学時代の先輩には「しかしなんで、いまだに下北なんだ」と問いつめられ、「でもやっぱほら、長年の習性?」と返答。そう、下北って習性以外のなにものでもないかも。 そして出版社時代の友達(これは毎年会う)といえば、もう誰もなにもきかずとも当然のごとく「下北」だ。もはや習性になっていることさえ気づかぬ、そんな習性。 晩ご飯はぶり焼き、からすみと蕪薄切り、エシャロットともろ味噌胡瓜、ほたるいかと若布ワサビあえ、さつまいも煮、かぶの葉とじゃこ、生ひじき胡麻油炒め。 飲み屋のメニューだねえ、と飲めない母ぼそり。
 
2008.5.28 (Wed) in Japan    ★★★

神楽坂で迷いに迷った後、編集M橋さんとの打ち合わせ場所にたどり着く。しかし打ち合わせは前半1/10。残りはといえば、実は毎年楽しみにしている編集Oさんの壮大な人生に耳をかたむけようよ、の会なり。 晩ご飯はミシュランの星つき素晴らしき和食をいただく@石かわ。ホタルイカ&うどのすだちジュレ、稚鮎の天ぷら、あいなめ沢煮椀、甘エビの酒盗がけ、太刀魚の生海苔がけ、鰻餡がけ、茄子の雲丹のせ、和牛と新玉ねぎのしゃぶしゃぶ仕立て。 しめは桜海老の炊き込みご飯にピンクグレープフルーツのムース。皆、舌が踊りすぎ、不忍池の河童話、ホームレス編集者、コロンビア人の嫁話など、話題は夜をつきぬけたり。
 
2008.5.29 (Thu) in Japan    ★★★

昨日も迷って遅刻したが、本日は時間を30分間違えての遅刻。まことに申し訳なや、情けなや。しかも心配した編集K野さんが実家に電話をくれたところ、母親はNYの携帯番号を教えてしまったらしい。 「その局番は多分、違うんじゃ…」と心で思いつつも、聞き流してくれたK野さん。重ね重ね申し訳ない…。晩ご飯はまたしても素敵な和食に舌踊り@貴久知。あいなめや鯛や平目刺、野菜のスープに稚鮎煮。 おみやげに包んでもらったほかほかのあなご卵ごはんを手に小田急線でうとうと。
 
2008.5.30 (Fri) in Japan    ★★★

母、妹と車(の助手席)で懐かしの相模原へGo。北里大学病院ぴかぴか、麻高の校舎は年季入りすぎ。相模原の妹の友人宅に突然ピンポーンと奇襲をかけ、ご迷惑をかける。 インターホンから「ええ〜のんこ〜」とおどろきの声がきこえた後、出てくるまでにしばらくの間が。「今、絶対、焦ってジャージかなにかを着替えてるよね」と言っていたら、その通りらしかった。 自分がされたら苦手なことをしてしまい、いひひと反省。夕、K野さんから「おどりば金魚」韓国語版のカバー画像届く。わっはは、と感心するほど力のぬけた金魚の絵がすてき。 晩ご飯はかつおのたたき(さらし玉ねぎ、小ねぎ、生姜、冥加)、茗荷と舞茸天ぷら、わさび菜おひたしと豆腐屋ジョニー、明太子。
 
2008.5.31 (Sat) in Japan    ★★★

三平と待ち合わせ@町田。またも哀しい習性でふらふらとジョルナへ。それにしても世にはワンポイント余計な服が多すぎるよね、と嘆息しつつ、店内を流し見る(だからそれは年齢層が違うんだって!なる声はきかぬふり)。 いらぬポイントはフリルやレース。これがなけりゃ可愛い柄が多いのにのう。しかし三平は果敢にも2ポイントは多い服を購入。裾に2段もフリルがついているのだ。 フリルを二回にわけて切っちゃえば、一枚の服で三通り楽しめるよね!などと声高々に言いあう我々の背後には、店員さんの姿が…。私はワンポイント服は諦め、旅行鞄につけるTSA仕様の鍵を買う。 これでアメリカの空港で鍵を壊されたりしないので安心だ。しかし鞄の中身を見られても安心かというと、それはまた別話。晩ご飯は焼き鳥、くせになる茸クリームサラダ、沖縄の唐辛子串@月忠。 食後になめらかプリンを別腹が食@パステル。
 

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