Illustrated Books
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1994年から1996年にかけて、1年に1冊ずつ作ったイラストエッセイ集です。カメラとノートを手に、街角から旅先まであらゆる場所を彷徨い、イラスト描いて、文章書いて。 あげくに、うち2冊は自分でレイアウトまで手がけるというまさに家内制手工業。楽しいけれど大変だったなぁ。 今、同じものを同じ時間内に作れと言われたら……うーん、体力がもたないかも。お気楽、呑気な内容だけれど、丁寧に何から何まで面倒をみただけに、いとおしいわが子のような本たちです。



ニューヨーク街角スケッチ 1994.11 トラベルジャーナル 1800円
New York Machikado Sketch Travel Journal / ISBN 9784895593175
 
★(あとがきより)

NYに遊びにやってきた友人たちが、よくこんなふうに言ってくる。
「どこか面白い、NYらしいとこに連れてってよ」……私は、困ってしまう。 「うーん、面白いとこ、といっても私、よく知らないんだよねぇ。金属や木のかけらを売ってる店や、ホームレスが路上で盗品売ってる場所ならくわしいんだけど……」 私の答えには反応を示さず、思わず手元のガイドブックに目を戻す彼らである。そんな状態の私が作ったこの本には、五番街のショッピングもブロードウェイのミュージカルも出てこない。 まぁ、なんて地味でかたよった内容なんでしょう、と我ながら思うが、これが私の‘ニューヨーク スケッチブック’なのだから、仕方ない。
まっさらな気持ちで街を「見る」こと。人と「出会う」こと(たとえ言葉はかわさなくても)。ガラクタのようでいて、自分だけの宝物になりそうな予感を秘めたものを見つけること。 そんな中で手に入れた、思わず「みっけた!」といいたくなる何げないうれしさ(&なぜこんなモノが、と首を傾げたくなる可笑しさ)が一瞬なりとも伝われば、と思うのだ。 
なにしろNYは発見の多い街、だから。
CONTENTS
緑をさがしてマンハッタン/イーストヴィレッジ、モザイクさがして小さな旅/ブライトンビーチはロシアンフード天国/チープフード食べ歩き散歩/アメリカン・ダイナー・ノスタルジー/ ドラッグストア・カウガール/アーティストたちの路上ギャラリー/本好きのためのマンハッタン/他


ニューヨーク・アンティーク物語 1995.10 東京書籍 1700円
New York Antique Monogatari Tokyo Shoseki / ISBN 9784487792283
 
★(あとがきより)
この本はアンティークという、いわばアイテム中心の本だ。それなのに、私にはまるで旅の本を一冊つくりあげたような感触が残っている。 思えばてくてくと、結構マメにいろんな場所へ出かけて行った。いつものお散歩コース、グリニッチヴィレッジやソーホーのアンティーク店めぐり。 地下鉄に乗ってミッドタウンやアップタウン。そこかしこで週末に開かれるフリーマーケットも素通りできないたちである。 そのうち長距離バスや鉄道に乗ってふらりと遠出し、あげくはネイティブアメリカンの工芸品に触れようと、飛行機でニューメキシコまで飛んでしまった。
出かけた先々で、多くの魅力的なものたちに出会った。それらが魅力的であればあるほど、その背景を知りたくなった。どんな人たちが使っていたのか。 どんな暮らしの中に置かれていたのか。ただし驕った言い方をしてしまえば、所詮ものはもの。それが輝きを増すのは、そこに「物語」が存在するからだと思う。 アンティーク、コレクタブルに関して、人はさまざまな捉え方をすると思うが、私に関して言えば、物語や時の経過を感じさせてくれるもの、ということになる。
ある時、話をきいたアーティストが言っていた。風化していくもの、時間とともに朽ちていくものにこそ美しさを感じる、と。アンティークに人々が魅かれるのは、 そこに過ぎた時間のせつなさや憧憬を感じるからだろうか。この本には、魅力的な時を過ごしてきたモノたちを紹介したつもりである。
CONTENTS
桟橋のアンティーク・ショウ/ティファニーという人/カップ&ソーサー物語/ガラスを愛した男/ジェマイマおばさんのクッキー・ジャー/オールド・ラジオ・デイズ/ 女たちのニードル・ワーク/アメリカン・インディアンの生活アート/アーミッシュ村への小さな旅/他


カリブ海おひるねスケッチ 1996.8 東京書籍 1700円
Caribbean Ohirune Sketch Tokyo Shoseki / ISBN 9784487792788
 
NYの町並みや雑貨を淡い色調で描き続けていたせいだろうか。無性に鮮やかな色合いが恋しくなり、ある日カリブの島巡りに繰りだした。待っていたのは、優雅な南国のバカンス……とはいかず、 なんだか間の抜けた珍道中ばかりであった。あとがきで「いつかカリブを舞台にしたラブストーリーも書くぞ」なぁんて、イキごんでいたのも懐かしい。その数年後に実際生まれたのが、「パンの鳴る島、緋の舞う空」です。 両方読んでくれた方は、あまりの人格のギャップにあ然とするかも。それほどお気楽ノン気な旅の絵日記です。

★(あとがきより)
私にとって「島」というのは、どの位置にあってもどの海に浮かんでいても、常に魅力的な存在だ。カリブ海に限らず、行ってみたい島をあげたら、 人生いくつあっても足りないほど。しかし中でもカリブの島々に魅かれ、導かれるように出かけて行ったのは、やはりその強烈な個性からだろう。近隣にありながら、ひとつひとつの島が違う表情、違う文化をもっているのは、驚くべきことだ。 時には悲しい歴史の上で、先住民とヨーロッパやアフリカ、アジアの血が混じりあいながら築かれていったその島独特の顔は、光と影に彩られている。
私はカリブの海や人々や景色を通し、自分を見つめ続けていた気がする。本文にも書いたが、南の島ではまわりとともに自分が見えてくる。 人々の薄着の心(もちろん外見もね)が、こちらの心のオーバーコートまで脱がせてくれるから。バラエティ溢れるカリブの島々には、百通りものコートの脱ぎ方があると思う。私はまだまだ懲りずに出かけていくつもりだ。
CONTENTS
ジャマイカ…キングストンの陽気で手ごわいパイレーツたち
マルティーク…眠るフォール・ド・フランスの町と船長の孤独
プエルトリコ…おいてきぼりのサンファンからバスにのって
トリニダード・トバゴ…スティール・ドラムの音色を奏でる島/夕暮れの空にスカーレット色の鳥が舞う/他